92分
Amazon prime videoより配信中
こんな人にオススメ
- 最近、悩みごとが多い
- 寝つきが悪い
- どこか吹っ切れたい気持ちがある
〜あらすじ〜
思いつめた表情で森の中を歩く京一。
木の枝にロープをかけて自殺を図ろうとするが足を滑らせ失敗してしまう。
そこへ偶然通りかかった猟師の欣二は京一を介抱しながら問う。
“なぜ死ぬ?”と。
―数年後、京一は欣二の所有していたレストランを任され働いていた。
人里離れた森の中のレストランは三ツ星フレンチの名店で腕を磨いた京一の料理が評判となり、遠方からのお客も絶えなかった。
しかし一方で、この森で命を絶とうとする者が“最後の晩餐”を求めてやって来るという噂があった。
そんなある日、絶望を抱えた少女・紗耶がこの森へ足を踏み入れる…。
(prime video紹介文より抜粋)
(C)森の中のレストラン製作委員会
人生に絶望からの希望
誰にでも辛い過去があること
それをどう乗り切れるか、考えさせられる作品です。
田舎の森の中
無表情で何か思い詰めた男がフラフラと歩いている。
手にはロープを持っていた。
その様子を通りがかった猟師・欣二(ぎんじ)が見ていた。
男はロープを木の枝にかけ、輪っかに結んだ中に首を入れたが、失敗し頭から転倒してしまった。
男が気づくと、小屋にいた。外で猟師・欣二が鹿の肉をさばいていた。
「なぜ死ぬ? 死ぬ前にコレ食ってけ。特別な鹿だ」
(C)森の中のレストラン製作委員会
ー 数年後 ー
森の中のレストランに東京から3人の女性がやってきた。
そのレストランは不便なところにあるにもかかわらず、料理の美味しさに評判になり、遠方からも来ていたのだ。
3人は美味しい料理を食べながら話す
「ここのシェフ、フランスの三つ星レストラン出身よ」
「なんでこんなところに?」
「色々とウワサがあるみたいよ。娘さんが亡くなったとか」
シェフは、欣二に助けられたあの男だった。
(C)森の中のレストラン製作委員会
最後の晩餐
シェフの名前は瀬田京一(船ヶ山哲)
かつては妻と10才の娘と幸せな日々を過ごしてました。
ある日、家族で歩いているとき、飛び降り自殺をした男に娘が巻き込まれて、娘も亡くなってしまったのだ。
新しい家、明るい家族
それが一転、どん底へと落ちてしまいます。
妻とも離婚し、自暴自棄になり命を絶とうとしていました。
(C)森の中のレストラン製作委員会
欣二が京一に伝えます。
「今日の夜、1人の予約が入った」
予約のお客がやってきました。
顔面は青白く、明らかに思い詰めている様子です。
「僕はここに最後の晩餐をしにきました」
男は食べ終わってレストランを出ていくとき、京一に話しかけます。
「あなたはどうして最後の晩餐を? 止めないんですか」
「人を巻き添えにしてほしくないんです」
「どうゆうことですか?」
「他人の人生の選択に関わるつもりはありません」
男は素直に聞き、
「美味しかったです」
そう一言伝えて、闇の森の中に消えていった。
(C)森の中のレストラン製作委員会
ドメスティック・バイオレンス
ある家族の夕飯のテーブル。父親と母親、そして高校生の娘・紗耶(サヤ)
なぜか空気が張り詰めています。
父親がぼそっと言います。
「うまい。今日のは美味しいよね」
母親はつぶやきます。
「良かった...」
(C)森の中のレストラン製作委員会
しかしその夜、父親は母親に暴力をふるっていました。
母親の悲鳴が娘の部屋にまで聞こえてきます。
娘はイヤホンをして聞こえないようにしていました。
社会的地位があり、周りから評判のいい父親
しかし実はDV夫だったのです。
毎夜、繰り返される暴力
サヤは夜が怖くなり、眠れなくなりました。
(C)森の中のレストラン製作委員会
不快なレストラン
欣二と京一と犬一匹は、森へ食材集めにでかけます。
食材集めから戻ってくると、レストランの外に若者数人が待ち構えており、京一に掴みかかります。
「おい!なんで警察に連絡しねんだよ! (自殺者がいるせいで)みんな迷惑してんだよ!」
「ここはそういうところだ」
「うるせえ! 早くここから出ていけ!」
ネットでこのレストランは、”最後の晩餐の店”と言われるようになっていました。
そのウワサは、周辺に住む人々に不快感を与える存在となりつつありました。
(C)森の中のレストラン製作委員会
なにもかもがイヤになり
朝、出勤前のサヤの父親は、履こうとする靴を見るなり母親に怒鳴りつけます。
「靴が汚れている。ちゃんと拭いとけって言ったよな!」
「ごめんなさい...」
そのやり取りを見ていたサヤ
学校へ登校途中に、みんなとは別の方向に歩いていきます。
たどり着いた場所は”森の中のレストラン”
レストランが開く前の店の前で、座り込んでいました。
「どうぞ」
開店と同時に京一が声をかけます。
サヤは何も頼まず、店内で座ったままです。
(C)森の中のレストラン製作委員会
そして夜
「もうすぐ閉店です」 京一がサヤへ声をかけました。
「ネットで見たんですけど、私、最後の晩餐がしたくて。でもここに来るまでにお金使っちゃって」
「何が食べたい?」
「バジリのスパゲッティ」
バジリのスパゲッティは、京一の娘が大好きでした。
料理を作りながら、巡る娘との想い
客との干渉を避けていた京一でしたが、 欣二のほうは子供のサヤを心配し、京一に話をするよう説得します。
食べ終わったサヤが京一へ言います。
「ありがとうございました」
「娘が生きていれば君と同じくらいの年齢だ」
「おじさんも悲しみを背負っているんだね。地獄はもうたくさん。楽になりたい」
(C)森の中のレストラン製作委員会
新しい居場所
欣二は京一に言います。
「いいのか? これで」
「彼女の苦しみはこれで終わる。それは悪いことじゃない」
京一も心中は複雑でした。
自分の子供と同じ年代、子供のサヤを救いたい気持ちがありながらも、本人の意思を尊重しました。
翌朝起きると、犬が縄を噛み切って姿を消していました。
急いで探しに行く2人
すると犬の鳴き声が聞こえてきました。
鳴き声の方向へ向かうと、サヤと犬が一緒にいました。
サヤはまだ生きていました。
温かい飲み物を上げ、欣二は思っていたことを伝えます。
「うちでバイトしないか?」
少し考えてサヤは同意します。
「少しバイトしてみようかな」
(C)森の中のレストラン製作委員会
安らぎの生活
緊張しながらも、サヤのバイト生活が始まりました。
接客をこなすサヤ
「覚えが早いな」
欣二はサヤを褒めます。
「掃除も完璧だし、家が厳しかったんだろう」
仕事の飲み込みも早く、京一も気に入っていました。
3人の生活が始まります。
サヤは日に日に明るくなり、犬の散歩に積極的に行き、猟にまで同行するようになります。
妻に先立たれた欣二がつぶやきます。
「生きているといいことあるもんだな。もう少し待っててくれ」
3人で釣りをして釣った魚を食べたり、それは3人にとって充実そのものであり、京一も忘れていた何かを取り戻していました。
しかしサヤは未成年
サヤの家族は警察に”捜索願い”をだしていました。
当時のサヤの行動は、すぐに警察に知られることとなります。
警察がレストランに来るのも時間の問題でした。
(C)森の中のレストラン製作委員会
助けたいその気持ち
人生に絶望して夢も希望も失った男が、もう一踏ん張りするストーリーです。
自殺志願者を止めることなく、最後の晩餐を提供していた京一
相手の気持ちが分かってしまうからこそ、最後の素晴らしいプレゼントとして、せめてもの想いを持っていました。
しかしサヤと出会い、自分の娘と重ってしまうことで、その考え方が変わっていきます。
助ける気持ちが強くなっていくのです。
主人公の京一(船ヶ山哲)の声が聞き取りにくという声もありますが、人生に絶望したリアルな姿だと思えば、この演技にも納得です。
観終わったあとは、こんな雰囲気のレストランに行きたくなって調べてしまいます。
序盤は悲しくも最後はほっこり、少し感動もあります。
休日前の夜にでもぜひ!
森の中のレストラン