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2022年 ドイツ
〜あらすじ〜
1942年1月20日
ドイツ・ベルリンのヴァンゼー湖畔にある大邸宅にて、ナチス親衛隊と各事務次官が国家保安部代表のラインハルト・ハイドリヒに招かれ、高官15人と秘書1名による会議が開かれた。
議題は「ユダヤ人問題の最終的解決」について。
「最終的解決」とはヨーロッパにおける1,100万ものユダヤ人を計画的に駆除する、つまり抹殺することを意味するコード名だった。
(prime video紹介文より抜粋)
(C)2021 Constantin Television GmbH, ZDF
資料も残っていた会議
ナチス戦犯でもあるルドルフ・アイヒマンが記録した議事録「ヴァンゼー会議」に基づき作成された映画です。
ナチス・ドイツ敗北後もこの議事録は残っていたそうなので、ほぼ実際にあったやり取りです。
映画の内容は会議のみですので、ひたすら会話のやり取りを聴く感じです。
ユダヤ人を絶滅させるという内容が内容なだけに胸クソ悪くもなるかもしれません。
親衛隊vs政府高官みたいな構図になっており、ヒトラーの命令を粛々と実行する親衛隊に対し、国力増加・国家繁栄を目的とする政府高官の信念の違いがいたるとことで見受けられます。
(C)2021 Constantin Television GmbH, ZDF
ユダヤ人に対して淡々と決めていく処遇に恐怖
ユダヤ人の熟練工が突然連行されたせいで生産能力の低下を起こしたことや、若い労働力が減少する問題、何よりもドイツ人とユダヤ人とのハーフや、クオーターはどうするかなど、何よりみんな真剣にそして至って冷静に淡々と話し合います。
その姿を見ていると、その雰囲気に恐怖を感じ、おぞましくもあります。
この映画だけを観ると、以下のような捉え方もできます。
- ■ヒトラーはユダヤ人の対処について、「やり方」までの直接的な指示は出していなかった。
- ■この会議を行うまでは、ユダヤ人の対処について各部隊それぞれが独自に解釈し、迫害への実行に移していった。(移動虐殺部隊・アインザッツグルッペンの各地での蛮行)
ヒトラーがはっきりと指示を出さないそれは責任逃れか?
(部下が勝手にやった、とか)などと思ってしまいますが、私は歴史家でもないのでこれ以上のことは分かりません。
ただナチス党が政権を取るまで強く言っていたのはユダヤ人の追放ですから、最終的にはヒトラーの命令で間違いないと思いますが。
(C)2021 Constantin Television GmbH, ZDF
全員が同じ考えだったのかどうか
中には「肉体的解決」を求めなかった人物もいます。親衛隊中将ハインリヒ・ミュラーもそうだったという話はあります
それに関して気になるシーンがあります。
ユダヤ人の肉体的解決の話をしていた高官に対し、ハインリヒ・ミュラーが大きくため息をし、話を早く終わらせるような仕草を見せたシーンがあります。
まるで「そんな議論はしたくない」みたいな感じです。
会議中のそういった仕草にも注目してほしいところです。
上司がヒムラーで部下がアイヒマンという最も迫害に関わった人物に挟まれ、大きくムリがありますけどね。
(C)2021 Constantin Television GmbH, ZDF
映画を見終わって
現代の会議も、中には会社の意向に従うしかないだけの意味のない会議もあります。
最終的には上司の方針にひたすらイエスで進めていくことが安心に働けるという、まったく何も生み出さない常に現状維持の考えがあるのも事実です。
冒頭で言ったように胸糞悪くなるやり取りですが、この現実があったという事実をドイツ人が映画を作り公開していることにある意味驚き、そしてあらためて考えさせられる1本です。
●ユダヤ人を助ける側のオススメはこちら → 【ウォーキング・ウィズ・エネミー】
(C)2021 Constantin Television GmbH, ZDF